― 波に逆らうか、乗りこなすか ―
「クリエーターの職、AI侵食じわり」。
そんな見出しの記事を目にした。
※記事は、2月9日(月)朝日新聞朝刊に掲載
イラスト、作曲、デザイン、コピーライティング。かつて“人にしかできない”とされた領域に、生成AIが入り込んでいるという内容だった。確かに事実だろう。制作スピードは圧倒的に速く、コストは低い。依頼主が「まずはAIで」と考えるのは自然な流れだ。弊社でも、2年以上前からAIを運用している。
だが、ここで立ち止まって考えたい。
歴史を振り返れば、技術革新が職業を変えた例は枚挙にいとまがない。写真の登場で肖像画家は減った。しかし写真家という新たな職能が生まれた。DTPの普及で写植は消えたが、デザイナーの役割はむしろ広がった。技術は奪うと同時に、再定義する。今このようなテーマで騒ぎ立てられるのは、SNSのせいにも思う。しかし、誰もがそれを使わずに生活できない状態に陥っている違和感も一方にはある。
問題は、「AIに仕事を奪われるか」ではない。
AIと組んだとき、自分の価値はどこに移動するのかということを考えてほしい。
トラストプランの視点で言えば、AIは“制作装置”と言えます。
文章を整える、画像を生成する、構造を可視化する。これらは確かに効率化される。しかし、問いを立てる力、文脈を読む力、最終責任を負う覚悟は、依然として人間側に残る。
記事には「社内で作れるようになり、外注が減る」という指摘もあった。これは一面の真実だ。しかし逆に言えば、社内でAIを使いこなせない企業は、より高度な外部パートナーを求めることになる。単純作業は減るが、設計力と編集力はむしろ重要性を増す。
AIは平均点を引き上げる。だが、突出した価値までは自動では生まれない。そこに“人の視点”が介在する余地があるのだと思う。。。
これからのクリエーター、企画者に必要なのは、防御ではなく再設計だろう。AIを排除するのではなく、前提条件に置く。制作工程の初期段階をAIに委ね、その上に思想や判断を重ねる。波に逆らえば消耗する。だが、波に乗れば推進力になる。
AI時代とは、創造性が奪われる時代ではない。創造性の定義が変わる時代だ。
トラストプランとしては、AIを脅威ではなく「思考を拡張する装置」として扱っていきたい。
問いを立てる人間と、処理を加速するAI。その協働こそが、新しい企画の出発点になると思う。
