先日、自民の圧勝に終わった選挙のあと、数紙の新聞記事を追っていたが、この記事が最も腑に落ちたので「AI」もからめつつ、紹介したい。
「不思議の勝ちあり。不思議の負けなし。」
平戸藩主・松浦静山のこの言葉は、単なる武士道ではない。現代のマーケティングにもそのまま通用する原則である。勝利は時流や偶然の追い風に乗ることがある。しかし敗北には必ず原因がある。そこを直視できるかどうかで、次の一手は決まる。
今回の政治の局面でも、中道を掲げた野田氏の“負け”と、高市氏の“勝ち”が対比的に語られている。評価は人それぞれだろう。しかしマーケターとして冷静に見るなら、勝敗は「空気」と「構造」の読みの差にある。
市場も選挙も同じだ。支持が広がる時には、必ず感情の動線がある。共感の物語があり、言葉の温度がある。高市氏は、その文脈を的確に捉えた。一方で、野田氏の論理は整っていたとしても、空気の変化に十分乗り切れなかった印象が残る。正しさと支持は、必ずしも一致しない。
ここで重要なのは、勝った側を礼賛することでも、負けた側を否定することでもない。「なぜその構図が生まれたのか」を分解する姿勢だ。負けを“運が悪かった”で済ませれば、改善は止まる。だが負けを構造として捉えれば、学習が始まる。
AIはデータを集約し、傾向を示すことはできる。しかし、空気の温度や人の感情の微差までは完全にはぬぐい取れない。最終的に市場や世論の変化を読むのは、人間の洞察である。だからこそ「不思議の負けなし」という視点が効いてくる。
後輩たちに伝えたいのは、勝ちに酔うな、負けを曖昧にするな、ということだ。勝利は再現できるとは限らない。しかし「敗因は、分解すれば次の武器になる」。マーケティングに携わる管理職諸氏にも改めて伝えたいのは、部下とともに「敗因」をとことんマーケティングしてほしいということだ。古手の僕から言わせれば、クライアントとしっかりと「雑談」もできたか??と問いたいところである(笑)

2026年2月19日朝日新聞朝刊
